「同じ空を見ている」

「ねぇねぇ、いま同じ夕焼けを見てるよ」
「同じ空?」「100km以上離れてるのに同じ空?」
「同じ空だよ」
「これだけ遠ければ夕陽の高さも違うのに?」「もっといえば、同じところで見てたって、同じ色で見てるかなんて分からないじゃん」「だから同じ世界なんて見えないよ」
「だから、あえて言葉にするんじゃないかなぁ」「同じ空を見てるよって」

超短編 - allegro - はてなハイク

言葉を紡ぐことで、僕たちは「そういうことにする」ことができる。
同じ空を認識することは能わないかもしれないけれども、それでも、僕たちには言葉がある。
あなたが見てる青、僕が見てる青、感覚を交換できない以上、同じものかなんてだれにも分からない。
それでも。「同じ空を見ている」そう言うことで、僕たちは同じ空を「見ていることになる」


言葉の力。言葉を使うということ。そして言葉に支配されると言うこと。
「同じ空を見てる」
言葉を交わすこと。言葉を使って、お互いに影響しあうと言うこと。
それが対話、と言うものなんだろう。
対話を通じて僕たちはいろいろな約束を作って、影響し合って、変化していく。


対話の先には、いったい何が待っているんだろうか。
そしてできたら、変われる自分でありたいものだと思う。